コンデンス:コンデンサ

百合とBLと本。

最近読んだ百合作品(2020年9月上旬)

最近読んだ百合作品の感想を忘れないうちに書いておきます。備忘録替わりです。

 

陸秋槎『雪が白いとき、かつそのときに限り

なんか百合ってどこかで聞いてたから買った。

たぶん百合SFアンソロ(『アステリズムに花束を』)に収録されている作品の作者ということで買ったと思います。百合SFアンソロとはまた少し違った雰囲気ですが、相変わらず三角関係の百合なんですね…嫌いじゃないですよ…。(すごく好き)主人公の馮露葵(ふうろき)と図書室の先生の姚漱寒(ようそうかん)、馮露葵と友達の顧千千(こせんせん)の関係がたいへん好きです。あと姚漱寒の語る大学生活がまんま自分で、彼女の状況がシャレにならなくて変な声が出ました。あまりに自分そっくりで冷や汗ダラダラかきました。

 ミステリとしてはあとがきにも書いてありますが、綾辻行人から始まる新本格ミステリ、という流れをすごく感じます。詳しくはネタバレになっちゃうのでまたどっかでもっと書きたい。

 

雨水汐『欠けた月とドーナッツ1』

本屋で表紙に惹かれて買った。

すごーーーーくよかった。穴があるからこそいい、というメタファーにドーナツを使うというテクニカルなところもすごく好きだし、何より主人公の二人とも自分の好みのタイプのOLすぎる。美人百花系の服着た男ウケファッションのロングヘア―のOL(本人はそこにしがらみを感じてはいるものの)、すごく好き。本当に好きなんですよね、ああいう赤文字系オフィスカジュアル…。かわいい…。そして黒髪ショート(若干ウルフっぽい)のコンサバファッションの無表情だけど仕事できるお姉さん…私も上司にそんな人が欲しかった…。しかもこの二人のもだもだ感。一向にくっつかない!!それがいい!!自分が嫌い、そんな気持ちを受け入れていく様子が本当に丁寧に描かれていて、ただ救われるだけじゃなく自分でも救われようとするひな子の姿がとてもかっこいい。(多分ひな子はそうは思ってないだろうけど。)多分これから元気がなくなった時に読み返すと思う。2巻が楽しみです。

 

 

 原百合子『繭、纏う1』

繭、纏う 1 (ビームコミックス)

繭、纏う 1 (ビームコミックス)

 

なんかTwitterで褒められていた記憶があったので買った。

まず、人の髪で作られた制服という発想がものすごい。そして、その髪で織り上げられた制服という設定を、吉屋信子らの少女小説から脈々と受け継がれてきた百合定番の女学校や後輩先輩という制度と結び付けていったのがすごい。制服の例えば第2ボタンやスカーフなどの一部の部品によって結び付けられる関係性というのはよくある、というか定番だと思うのですが人間の髪の毛という様々なコンテクストを持つ材料によってより重み?が増していて、より物語的に特異性が増しているかと思います。

 学園の有名人との逃避行、まさにこの年代の子供だからこそ感じる閉塞とやりきれなさの象徴という感じでとても好きです。まだ1巻しか読んでないので、早く続きが読みたい。

あとこれはご当地ネタなのですが、セーラー服の襟があんまり大きくなくて胸当てがついていないのがいかにも関東の学校だな…と感動しました。中部地方出身なので、いわゆる名古屋襟と呼ばれる襟がクソデカいセーラー服(もちろん胸当てがついている)を中高6年間着ていたので、胸当てがないと胸元スース―しないのか!?と心配になります。おばちゃんの余計なお世話。

 

全然関係ないですが、百合SFアンソロに入ってた陸秋槎氏の作品がすごく好きなのでぜひ。